Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第5回日本フィヒテ協会賞】
日本フィヒテ協会第15回大会当日(1999年11月20日)、第5回フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が行われ、受賞者の杉田孝夫氏に、賞状、賞金、副賞(フィヒテの肖像画、シュールポルタのワイン一本、H. Petzold著 Begegung mit Fichte)が授与されました。以下は受賞理由書です。
――受賞対象業績――
A 研究論文
  • 「政治思想としてのドイツ観念論――フィヒテにおける自由と強制」(『東京都立大学法学会雑誌』、第25巻第2号、1984年)
  • 「フィヒテにおけるフランス革命――1789年の理念に基づく『社会』と『国家』」(『東京都立大学法学会雑誌』、第29巻第1号、1988年)
  • 「フィヒテにおける『国民』」(『現代世界と国民国家の将来』、御茶の水書房、1999年)
  • 「フィヒテの家族観」(『お茶の水女子大学人文科学紀要』、第44巻、1991年)
  • 「ドイツ観念論における家族観――HausからFamilieへ」(『お茶の水女子大学人文科学紀要』、第46巻、1993年)
  • 「南原繁とフィヒテ」(『フィヒテ研究』、第2号、晃洋書房、1994年)
  • 「共同体論の可能性に寄せて――個人・家族・共同社会」(『哲学論集』、上智大学哲学会、第25巻、1996年)
  • 「ドイツ啓蒙とPatriotismus」(『東京都立大学法学会雑誌』、第38巻第1号、1997年)
B 翻   訳
  • 『フィヒテ全集 第6巻 自然法論』(書房、1995年)
  • [共訳「カント」『永遠平和のために』書評]
C 学会発表
  • フィヒテにおけるHausとFamilie(日本フィヒテ協会第6回大会、1990年11月)
  • 「18世紀ドイツ思想における家族観の変容とその政治的意味」(日本政治学会1991年度研究会、1991年10月)
  • 「南原繁とフィヒテ」(日本フィヒテ協会第9回大会シンポジウム、1993年11月)
  • 「共同体論の可能性に寄せて――個人・家族・共同社会」(上智大学哲学会第43回大会シンポジウム、1995年10月)
D 辞典項目
  • 「フィヒテ」、「無神論論争」(『岩波哲学思想辞典』、岩波書店、1998年)
――受賞理由――
 本協会会員杉田孝夫氏は、長年にわたるそのフィヒテ研究において、上記諸論文・諸発表に見られるような顕著な業績を挙げられました。杉田氏のフィヒテ研究は、従来比較的研究の手薄であった政治社会観の分野で、明確な問題意識と視点に基づいて精力的に行われています。その研究は、テクストに即して手堅く、しかも社会史や思想史という骨太なコンテクストの中で、思想の特質を解明しようとしている点において、大変独創的で、力量を感じさせるものであります。とりわけフィヒテの家族観の研究は極めてめずらしく、今後の研究の発展が大いに期待されます。また、杉田氏は本協会の第6回および第9回大会における研究発表等を通じて本協会の活動に寄与しました。その活発な研究態度は本協会の研究奨励賞にふさわしいものと考え、当選考委員会は杉田孝夫氏の優れた業績に対し第5回研究奨励賞を授与することに決定いたしました。
 1999年11月20日
 日本フィヒテ協会選考委員会